公益財団法人 弘前大学アイバンク

献眼について

献眼とは

臓器移植によって腎臓や心臓、そして肺や肝臓などに病気をもつ方が臓器提供者から提供された臓器の移植を受けて病気から解放される治療法をご存じの方は多いと思います。眼の角膜についても角膜の病気で視力が損なわれた場合に他人の透明な角膜を提供していただき、移植することで視力を回復できる場合があります。これを角膜移植手術といい、臓器移植のひとつの方法としてすでに確立されています。透明な角膜を死後に提供することを献眼、提供する方のことを献眼者といいます。一般的に献眼者の死亡後12時間以内に眼球を摘出して、その眼球から角膜という眼球前面の透明な部分を切り取り、専用の保存液に入れて冷蔵庫で保管します。献眼者の血液検査や角膜自体の検査を行って手術に支障がないと確認され次第、角膜を用いて角膜移植手術が行われます。

角膜移植手術について

眼球のいわゆる「くろ目」に相当する部分の表面にある透明な膜を角膜といいます。この角膜が濁ったり変形したりするために視力障害となっている眼に、病気の角膜を円形に取り除いて、献眼者から提供された角膜を円形に調整して移植する手術です。角膜は他の内臓と違って血管が少ないので移植後の拒絶反応が起こりにくいのが特徴です(ただし、ゼロではありません)。また、一口に角膜の病気と言っても種類は色々です。同じ角膜の濁りでも表面が濁っている場合や内面に病気がある場合もあり、それぞれに病気としては違いがあります。最近では、これまで行われていた角膜を全部取り替えてしまう手術法(全層角膜移植)に加えて、病気の部分だけを選択的に移植する手術法(角膜パーツ移植)も行われるようになってきています。この方法だと痛んだ角膜の部分だけを移植して健常な部分を可能な限り残すことができますのでそれだけ拒絶反応の可能性も低くなります。